2005.11.10

加熱処理済みらしいモゴク産のルビー(珍しくないです)

ルビー原石

モゴク産?(ミャンマー)

 偶然にある程度色合いも良いコランダムの原石を入手しました。ゴミの付着があったので清掃していたら簡単に割れてしまいました・・・まさか加熱しているのか? 気を取り直して結晶片を観察することにしました。

 ピンキーな色合いですからルビーと呼ぶよりはサファイアなのですがルビーとしておきます。中心部と外周部に色の濃いゾーンがあり(上の写真)ミャンマー産のコランダムの説明に書かれていた中心部の色が濃いのを思い出しました。ドス黒い赤の原石を加熱処理すると真っ赤なルビーに変身するのを以前資料で見たな〜と。確か中心部は赤でなくて黒っぽかった写真を見た気がしました。

 色は適度で透明感もありそうなのですが、いざ透かしてみると透明度は良くないのです。これは無数に入ったヒビが原因のようです。

x60 成長線とヒビだらけ x60 左側に負晶の跡?
x60 金属光沢の付着ゴミ x150 大きめのフラクチャー

 一応、顕微鏡にて60〜150倍で拡大して調べてみました。加熱処理した際に内包物周囲に発生するらしいディスコイド・フラクチャーがあちこちに存在します。画像ではハッキリ写りませんでしたがx150のゴミのすぐ上にフラクチャーが判ると思います。大きな黒点は試料表面の付着物(ゴミ)です。シルクも見つからないし、やたらとヒビが多いのに隙間が汚れていないのです。どうやら加熱済みみたいなので、アクセサリー加工へまわすことになりました。

 今回は未処理・処理の情報が無いままの原石を入手したのですが、残念ながら加熱処理済みでした。再度あちこちの情報を調べてみるとマンシュー産の大半を加熱処理していて未加熱の石はモゴク産に多いと俗に書かれてますが、最近はモゴク産で未加熱の鑑別が減っているとレポートも掲載されていました。モゴク産だからといって未加熱安泰ではないのを再認識させられたのでした・・・

 割れなければ調べもしなかったので、割れて良かったのかも知れません。


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